ヘバーデン結節
どのような疾患?
ヘバーデン結節はひとさし指~小指の第1関節に見られる変形性関節症です。1802年にイギリスのWilliam Heberdenが最初に報告したので、ヘバーデン結節と呼ばれています。
第2関節に見られる場合はブシャール結節と呼ばれています。
見た目は第1関節が腫れ、第1関節を押した時や動かした時に指の痛みを訴えることが一般的です。
40歳を過ぎた女性に多く見られます。
へバーデン結節の症状
・指の第1関節が赤く腫れている
・指の第1関節が変形して痛い
・曲げ伸ばしで指が痛い
・物にぶつかると指が痛い
関節の変形のため、動きも悪くなります。家事、書字、パソコン作業など日常生活に様々な支障が生じます。
へバーデン結節の原因
ヘバーデン結節の原因はまだ明らかになっていません。
原因は一つではなく、複数関与していると考えられています。
①加齢:ヘバーデン結節の発生頻度は、年齢に比例して増加しています(1)。
一般人口全体における発生頻度31.0%
(30代10.6%、40代20.7%、50代28.6%、60代35.3%、70代50.5%、80代59.1%)
②遺伝
③更年期障害:指の痛みを実感されている方は女性に多く、女性ホルモン減少の影響が考えられています。
④手指の使いすぎ(overuse):手指をよく使う仕事をする方に発生率が高いとされています。
へバーデン結節の一般的な治療
一般的な治療は、保存的治療(手術ではない方法)として消炎鎮痛薬(湿布・痛み止め飲み薬)、テーピング、関節内ステロイド注射などがあります。
前述の治療で改善しない場合は手術療法(関節のコブを切除・関節を固定)もありますが、膝・股関節の変形性関節症と比べ積極的には行われていません。
一般的な治療で治らない場合は…動注治療
一般的な治療法で改善されない場合、新しい治療法(動注治療)を検討してもよいと思います。
最近では変形性関節症の関節周囲には余計な異常血管(モヤモヤ血管)が増えていて、腫れや炎症、痛みの原因になることが知られています。
当院ではそれらの異常血管(モヤモヤ血管)を減らすための新しい治療を行っています。動注治療は片手であれば5~10分で終わる簡単な治療で、一般的な治療よりも効果が期待できます。
へバーデン結節に対する動注治療を受けて1年後、4人中3人の方は痛み軽減した状態を保てている報告があります(2)。
[参考文献]
(1) 藤澤幸三ほか:日手会誌, 4:769-772,1987.
(2) Kubo T, et al. CVIR. 2023;46(10):1375-1382.
当院の経験症例① 60代女性
美容師をされている方です。約3年前に左中指の第1関節に痛みを自覚しました。その後、両指のひとさし指・中指・薬指・小指の第1関節に徐々に痛みが広がりました。
特に仕事で頭を持ち上げる時、シャンプーをする時、物が指に触れる時に痛みを強く感じました。
当院受診時は何もしていなくても常に痛みを感じる状態でした。
診察時、外観は第1関節に赤みがかって腫れた状態で、患部に触れるのも難しい状態でした。
レントゲンを撮影すると、ひとさし指~小指の第1関節の軟骨がすり減って、骨のトゲ(骨棘)ができており、へバーデン結節(指の変形性関節症)の所見でした。
上(外観):両手指の第1関節に変形と腫れが見られます。
下(レントゲン):第1関節のすき間がなくなっています。骨のトゲ(骨棘)も目立ちます。
テーピングや整体などの治療を続けていたようですが、なかなか症状が改善しなかったため、当院の動注治療を初診日に受けて頂きました。
※
動注治療は初診時でも行える外来治療です。片手であれば約5分程度で治療できます。
↑治療時、手首または肘の血管から薬を流します。
指先の血管へ薬が流れた直後は、チリチリと熱い感覚があり、1分後に皮膚色の変化(白)も見られます。皮膚色の変化は約3~5分で元に戻り(赤)、熱い感覚も15~30分程度で元に戻ります。
治療後、約1週間経過した頃から指の動きがスムーズになりました。以前と比べ、頭を持ち上げる・シャンプーをする・物が触れる時の痛い感覚が軽減しているのを自覚しました。
約1か月半後の診察時には圧痛が消失しており、日常生活の質が改善している様子でした。
現在、治療後1年経過していますが、追加治療は行っていません。
骨の変形がベースにある場合、長期経過で痛みが再燃するリスクは残ります。動注治療は体への負担が軽く、外来で治療出来るため、痛み再燃時に繰り返し行うことが可能です。
動注治療
初診料(診察・検査代込み): 7,700円(税込み)
治療費:片手 27,500円(税込み) / 両手 38,500円(税込み)